雪月花
「雪月花」へようこそ。月刊LaLaにて連載中の「狼陛下の花嫁」の二次小説を書いてます。心赴くままに更新していきますので、よろしくお願いします。
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お見合い
「お見合い、ですか?なんでまた急に」

訝しげにこちらをみてくる李順さん。私は父からの手紙を差し出しながら説明する。父の知り合いの商家の息子と会うことになっているらしく、むこうがぜひに!と請われてのことで、断れなかったということだった。手紙を読み終えた李順さんは、仕方ありませんね、と頷くと3日間の休みをくれた。気乗りしないけれど、父さんのためだもの、会うしかないわ。その足で私は下町へと戻っていった。

「姉さん、おかえり。早かったね」
「ただいま、青慎。しばらく帰れなくて、本当にごめんね。お見合いだけしてくるわ」
「ねえ、姉さん。この間のその・・・李翔さんはいいの?姉さんの恋人なんじゃないの?」

青慎の何気ない問いに陛下を思い出し、どきんと胸が高鳴る。陛下には黙ってでてきちゃったし・・・後で狼陛下で怒られるかなあ。それとも、子犬でしょぼんとされる?いずれにしても内緒で来たのは間違いなく。

「姉さん?」
「な、なんでもないわ。お見合い相手の人の家はどこ?行ってくるわ」
「あ、ごめん。王旦那の家だよ、わかるよね?行ってらっしゃい、姉さん」
「うん、いってきます。なるべく早く帰るわね」

青慎と別れてから、王旦那の営む商家をめざして歩いた。しばらくいくと、「王商家」という看板がみえてきた。前までくると、人のよさそうな青年がたっていて、私を見てにこりと笑って挨拶してくれた。

「はじめまして、夕鈴さん。子英と申します。このたびは、縁談をうけていただき、ありがとうございます」
「いえ、こちらこそ、この度はありがとうございます」
「立ち話もなんですし、入りましょう。どうぞ、こちらへ」

子瑛さんが案内してくれた部屋は小奇麗に掃除されており、気を配ってくれているのがわかった。にこにこと、人当たりのいい笑顔をうかべる彼。お茶を出され、口をつけながらそっと子瑛さんをみてみる。王旦那の息子さんだけあって、しっかりしてそう。沈黙の中、先に口火を切ったのは、子英さんだった。

「夕鈴さんは、この縁談をどう思われますか?」
「どう・・・っていうと?」
「僕はこの王商家を父以上に大きくしたい、と思っています。それに夕鈴さんがいてくれれば、頑張れる、そう思うんです。前向きに考えてくださいませんか?お互いのことは少しずつ知っていけばいい。お願いします、夕鈴さん」
「子英さん、私・・・・・」

返事をしようとすると、後ろから抱きしめられた。前には子英さん。じゃあ、後ろは・・・?

「悪いね、夕鈴は僕のものなんだ。誰にも渡すわけにはいかないんでね。行こう、夕鈴」
「へ、李翔さん?どうしてここに・・・!?」
「ごめんね、李順に聞いちゃった。夕鈴が僕以外の誰かのものになるのか、って思ったらいてもたってもいられなくて」
「待ってください!あなたは一体誰だ?人の見合いを邪魔して、何を考えてる?」

子英さんの静止の言葉にぴた、と歩みをとめた陛下は、私の肩を抱きながらにっ、と微笑んだ。

「僕は、彼女の旦那さんだよ。君に彼女は渡せないよ、他のだれでも渡さない」

口端は笑っていたけれど、陛下の目はけして笑っていなかった。びく、とした子英さんに私は頭を下げた。

「ごめんなさい、子英さん。このお話、お断りします。ほんとうに、ごめんなさい」
「――――君は、本当にその男が好きなのか?」

子英さんは真剣に私のことを見つめているので、私も真剣に答えた。

「ええ。好きです」
「わかったよ。そこまで言われたら仕方ない、僕はひくことにする。幸せにね、夕鈴さん」

子英さんに見送られて私たちは「王商家」をあとにした。連れだって帰ると、青慎にやっぱり・・・という顔をされた。休暇の間、下町を案内したりしてまあ、楽しい休暇だったかな。
手荒れ
冬の寒さが増す今日この頃、夕鈴の手がかすかに手荒れをしてきていた。妃のバイトもしているのに、狼陛下唯一の妃の手が荒れているようでは、陛下に迷惑がかかる。少し、考えるべきだろうか?政務室で椅子にすわりながら、手をじっとみつめてから、ため息をつく。そこを陛下にみつかり、そばにきたかと思うとのぞきこまれた。

「どうした?愛しい妃よ。何を憂いてため息をつくのだ?」
「へ、陛下・・・その、たいしたことではありませんから。みなさまお待ちですわ」
「あんなに切なそうにため息をついておいて、何もないと?このあとの時間をすべて使って問いただしてもいいのだが・・・」

じっ・・・とみつめられ、あわてて下をむく。後でお話いたします・・・と陛下にのみ聞こえる声で囁く。李順が何をやってるんですか、このバイト!という視線を夕鈴によこす。陛下は名残惜しそうに夕鈴の頬に手をやり、妃にのみむける甘ったるい笑みをのこして、仕事へと戻っていった。

自室に戻った後、手をみつめて夕鈴はつぶやく。

「手荒れ予防のクリーム、ぬろうっと。仮にも妃の手が荒れているなんて、陛下の評判にかかわるし!」

前に紅珠がくれた、東洋の島国からのクリームがあったはずだ。いそいそと鏡台へ近づき、椅子に座る。引き出しをあけて、クリームをとりだし、時間をかけて念入りにぬりこむ。数刻したら、幾分か手荒れはましになっていた。さすが氾家がくれるものであるだけあって、質がいい。これでいいわ、と夕鈴は満足げにうなずく。


その日の夜、陛下がやってきたので、昼間のことを話すことに。いつものように、陛下を迎える。

「いま帰った、愛しい妃よ。お前と会えぬ間の時間はどうしてこうも、長く感じるのだろうな」
「まあ陛下、私もさびしゅうございましたわ・・・」

そこで陛下が「さがれ」と合図をおくる。侍女たちは礼をしたのち、静かに退出していく。

「お疲れ様、ゆーりん♪」
「陛下も、お疲れ様です。お茶をおいれしますね、少しお待ちください」
「夕鈴、昼間のことなのだが・・・」

体が反射的に反応してしまう。茶器を用意しながら、夕鈴は陛下に話しかける。

「はい、ため息をついていたことですよね?あれは、最近手荒れしているから、妃の手が荒れているのはいけないな、って思って付いたため息なんですよ。すいません、陛下に心配おかけして」
「手荒れ?君の手が荒れているなど、誰も思わないが。夕鈴、君の手は綺麗だ。私が保障しよう」
「!へ、へへ陛下っ・・・!」

陛下は茶器をおいた夕鈴の両手をとると、口づけた。真っ赤になる夕鈴と、嬉しそうな陛下。上目づかいがすごくセクシーだ。にっと微笑まれ、ばばっと手を離させた。

(こっこの狼陛下は―――っ!そういうことしたって、平気な顔してるんだから!)

いつまでたっても、慣れない夕鈴であった。
1月号感想
一番印象に残ったのは、夕鈴がにっこり妃笑顔で微笑みながら、

「この、女ったらしが!!」

ですね。水月さんが、おかしいな、お妃様からも冷気が・・・?って。ぴしって割れた冷たい空気の感じが。。でもそのあとの、陛下のせりふが!!

「ああ。この花は二人きりの時に愛でられるのが望みか。ならば仕方ない。どうか後で存分に、その怒りで私を困らせてくれ」

って。夕鈴、にこやか笑顔を崩さないまま、顔を赤らめて退場っ・・・あんなセリフ、間近で言われたら赤面ものですよね、うんうん。。柳 経倬はどうなるんでしょう?方淵がだまっているとは思えません。真っ直ぐな性格の彼のこと、報告するかも。父親にねじ伏せられるかな?

来月の「ステキな夜」って、何がステキなのか、想像つくけど楽しみです。今回は政治色が強かったですね、はい。
月見の宴
最近の秋の夜は月が綺麗だと思って、政務室で陛下と二人きりの時に、そろそろ月見とかしたら楽しいですよねと話しただけだった。それだけだったのに・・・・

「お妃様におかれましては、ご機嫌麗しく。此度は、月見の宴をされたいとのことでしたので、我らの方で段取りを整えましてございます。恐縮ではございますが、お時間を頂戴できますでしょうか?」

「・・・ええ。ありがとうございます。氾大臣、柳大臣。感謝いたしますわ」

にっこりと、妃スマイルで優雅に微笑みつつ、違う、そんなつもりで言ったんじゃ-ーっ!!と夕鈴はどこから陛下と二人だけでした話が漏れたのか、と首をひねった。春の宴では、息子たちに奪われた宴の責任者の任を今度こそは、と夕鈴の前で静かなる攻防がなされた。必死で妃演技をしたが、いつぼろがでるか心配だった。

「お妃様、我らのお話聞いていただけましたね?それで、我らのうちどちらかを宴の責任者として任命していただきたく・・・」

「え、ええ。そうですわね。どちらも、素晴らしい宴になることは間違いありません。ですので、わたくしにはどちらかなど、選べません。どちらかが、欠けるのはわたくしはいやなのです。おわかりいただけますよね?」

どっちを選んでも、宮廷の勢力争いの図が大きくかわる。うかつな言動は慎むよう、李順さんからも注意されているし、夕鈴としても難しいところだった。ふと、思いつく。

「そうですわ。宴を二日に分け、初日と二日目とで責任者を両大臣で決め、主催してはいかがでしょう?どちらの大臣の宴も楽しめます。どう思われますか?詳しくは両大臣でお決めになられたら、よろしいでしょう」

「は、お妃様の仰られるように致します。宴のほう、お楽しみになられるよう、我ら両名精一杯努力いたしますので。では、お妃様。また宴の折に・・・・・」

両大臣は夕鈴に深々と礼をし、颯爽と去って行った。二人が去ったのを確認してから、はぁっとため息をつき、椅子にもたれかかる。李順さんがなにかいいたげだが、決定的なぼろをださなかっただけでも、妃演技が「プロ妃」に近づいたのかも、と自分を励ますことに。

後日、二日に分けて催された「月見の宴」は二日とも、風情のある趣向の凝る宴で盛況なうちに終わったとか。始終にこやかにしながら、睨みをきかしあっていた両大臣は見ものだったとか。そのそばでいつも以上に冷え切ったオーラをだす狼陛下は、改めて臣下たちの畏怖の対象になったのであった。
罪作りな発言
「なー、お妃ちゃんって好きなやついるの?」

それは、浩大の何気ないひと言からはじまった。

いつも通り、お妃バイトもこなしながら、掃除婦バイトにいそしんでいる夕鈴。手がけていた掃除がひと段落し、休憩していたときに、ひょっこり現れた陛下の隠密・浩大がもらした何気ないひと言。

「浩大、なによ、急に」

「だーかーら、お妃バイトはおいといて、お妃ちゃんが本当に好いている男がいるのかってことだよ!」

やぶからぼうにそんなことを言い出す浩大。急に言われたので目をぱちくりとするが、少し考えてみる。今までにそういった経験がないだけに、どう答えていいのかわからない。

「・・・いないわよ、そんな人。几鍔じゃないかって下町のみんなは言うけどね。あんなのとくっつくと思われてるなんて、冗談でもやめてほしいわ!」

「そ、そっかー。じゃあ、この王宮にはいいなー、なんて思う人とかいるわけ?陛下にはいわないからさ、教えてくれない?」

「・・・どうして、私が好きなひとを浩大に教えなくちゃいけないのよ」

そう答えながら、夕鈴は少しいたずら心で、

「・・・じつはね、私、浩大のことが好きなのよ」

とにっこり微笑んだ。えっ?と目を丸くする浩大。動揺がみてとれたから、調子にのって夕鈴は、瞳を潤ませ、

「ずっと、お慕い申し上げておりました・・・浩大様」

と囁いた。夕鈴の言葉に硬直する浩大。彼の背を冷たいものが走る。今の言葉を陛下に聞かれていたらどうなっただろう?と。

「じ、じょうだんだよね?お妃ちゃん?」

「それは・・・」

もちろん冗談よ、といいながらそうだよね、そうに決まってるじゃない、と二人は笑いあった。夕鈴にとってはたあいない冗談であったろう。だが、浩大にとっては自分の命を危うくするものでしかない。瞬間、ぞくっ、と寒気が浩大を襲った。--陛下だ。

「お妃ちゃん、オレ、用事思い出したわ、まったねー!」

「そうなの?私ももう少ししたら着替えて部屋に戻らなくちゃ。陛下においしいお茶をいれてさしあげるの」

「んじゃ、またね、お妃ちゃん!」

しゅたっ、と浩大はその場から消えた。「?」と疑問符を頭に浮かべながら、夕鈴は掃除婦のバイトの残りをおえ、自室へと戻ったのだった。その日の陛下は笑顔を浮かべているものの、どこか不機嫌さも垣間見え、夕鈴は疑問に思いながらも、自分の何気ない冗談から浩大がひどい目にあったとは、ついぞ考えなかったのだった。





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